実質賃金指数は、名目の賃金指数を消費者物価指数で割って100を掛けたものです。厚生労働省は主に「持家の帰属家賃を除く総合」で実質化し、2025年3月分からは国際比較用に「総合」で実質化した値も示しています。2025年平均(確報)では、現金給与総額は355,941円で前年比2.3%増、実質賃金(持家の帰属家賃を除く総合で実質化)は1.3%減でした。
- 現金給与総額か所定内給与か
- どの物価指数で実質化したか
- 速報か確報か
- 事業所規模5人以上の結果か
毎月勤労統計で発表される主な賃金
毎月勤労統計調査は、厚生労働省が事業所を対象に賃金・労働時間・雇用の動きを毎月調べる統計です。特に断りがない数値は事業所規模5人以上の結果です。
| 項目 | 金額・指数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 現金給与総額 | 355,941円 | 2.3%増 |
| 所定内給与(就業形態計) | 267,532円 | 2.0%増 |
| 実質賃金指数(持家の帰属家賃を除く総合で実質化) | 98.0 | 1.3%減 |
| 実質賃金指数(総合で実質化) | 99.8 | 0.8%減 |
現金給与総額は、毎月決まって支払われる給与に、賞与などの特別な給与を加えた額です。所定内給与は残業代などを除いた基本的な部分で、賃上げの基調を見るときに使われます。ボーナス月は現金給与総額が大きく動くため、月ごとの比較では所定内給与もあわせて見ます。
実質賃金の計算式と物価指数の選び方
厚生労働省の解説資料では、実質賃金指数は「(名目)賃金指数÷消費者物価指数×100」で計算されます。物価には、実際に支払いが発生する購入を反映する目的で「消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)」が使われます。2025年3月分の速報からは、国際比較に使う利用者の便宜のため、「総合」で実質化した値もあわせて公表されています。
名目賃金が前年より2%増えても、物価が3%上がっていれば、実質賃金はおおよそ1%減になります(概算)。2025年平均では、名目の現金給与総額が2.3%増だったのに対し、実質(持家の帰属家賃を除く総合)は1.3%減でした。
同じ月でも、どちらの物価指数で割るかによって実質賃金の値は変わります。2025年平均でも、持家の帰属家賃を除く総合では1.3%減、総合では0.8%減と差がありました。ニュースを比べるときは、どちらの系列かをそろえます。
速報・確報と共通事業所の数字
毎月勤労統計は、まず速報が公表され、その後に確報で数値が改定されます。2026年8月分の速報は2026年10月7日に公表されています。速報と確報では値が変わることがあるため、記事や資料を引用するときは「何月分の速報(確報)か」を併記します。
調査対象の事業所は定期的に入れ替わるため、厚生労働省は参考資料として「共通事業所による前年同月比」も公表しています。対象事業所の入れ替えの影響を除いた動きを見たいときに使います。
自分の給与明細と比べるときの注意
統計の平均値は、パートタイム労働者を含む就業形態計や、産業・規模の構成によって左右されます。自分の給与と比べるときは、給与明細の総支給額(現金給与総額に近い)と基本給・諸手当(所定内給与に近い)を分け、前年の同じ月と比べます。手取りは社会保険料や税で変わるため、統計の賃金とは別に扱います。
年に1回の賃金構造基本統計調査は、職種・年齢・企業規模別の賃金水準を見る統計です。毎月勤労統計は月々の変化、賃金構造基本統計調査は水準の比較、と役割を分けて使うと混乱しにくくなります。
確認先と相談先の選び方
最新月の数値は厚生労働省の「毎月勤労統計調査」のページ(結果の概要、e-Stat)で確認できます。給与の計算や支払いに疑問がある場合は、まず勤務先の人事・給与担当に計算根拠を確認し、解決しない場合は都道府県労働局や労働基準監督署の相談窓口を利用できます。
出典・確認先
- 厚生労働省・毎月勤労統計調査 結果の概要(2026-10-12確認)
- 厚生労働省・毎月勤労統計調査 2026年8月分速報(2026-10-12確認)
- 厚生労働省・毎月勤労統計調査 2025年分結果確報(2026-10-12確認)
- 厚生労働省・実質賃金指数の算出方法などの解説(2026-10-12確認)
年平均の値は2025年分結果確報(2026年2月25日公表)によります。月次の最新値は厚生労働省の公表資料で確認してください。
事実と見通しを分けて、一次情報も確認しよう。